集大成将棋(あんちっく) 斬新で面白い変則将棋!

集大成将棋は古将棋&現代将棋&海外将棋&変則将棋の集大成!!斬新で面白い変則将棋です。(あんちっく)

【本将棋の歴史】(4)『平安将棋』(資料:二中歴)

【本将棋の歴史】(4)『平安将棋』(資料:二中歴)

【本将棋の歴史】(4)『平安将棋』(資料:二中歴)
 著:あんちっく

『チャトランガ最終形態』(インド)(8X8盤)が
日本に伝来してから、
・海外将棋の影響(タイ将棋の初期配置など)
・色違い立体像駒を木簡製駒化
・仏教の五宝(玉金銀桂香)の文字の採用
 (桂は香料の一種「肉桂」が由来)
・駒の動きの見直し
などが行われて、
ついに日本独自の『平安将棋』『平安大将棋』が
完成します♪(^^)
(ここでは「二中歴」に記載されたものを
『平安将棋』『平安大将棋』と定義します♪)

(これ以前の試行錯誤段階の将棋もあったかもですが、
ルールが最初に明文化されたのは、
『平安将棋』『平安大将棋』となります♪)

『平安将棋』『平安大将棋』は、
「二中歴」(1210~1221年)で紹介されていますが、
「二中歴」は、
三善為康(1049~1139年)の「掌中歴&懐中歴」を
合体させたものとなります♪(^^)

それでは、該当ページを見てみましょう♪

「二中歴」の将棋に関するページ
国立国会図書館デジタルコレクションの
二中歴13巻.[7]コマ番号64
2-chu-reki-shogi
(注:将棊が『平安将棋』、
  大将棊が『平安大将棋』の事です♪)

将棊 棊一作騎
玉将八方得自在 金将不行下二目 銀将不行左右下
桂馬前角超一目 香車先方任意行 歩兵一方不他行
入敵三目皆成金 敵玉一将則為勝

又大将棊十三間云 玉将各住一方中 金将在脇 銀将在金之次
次有銀将 次有銅将 次有鐵将 次有香車
銅将不行四隅 鐵将不行後三方
又横行在王之頂方 行前一歩左右不云多少
又有猛虎在銀之頂 行四角一歩
飛龍在桂馬之上 行四隅超越
奔車在香車之頂 行前後不云多少
注人在中心歩兵之頂 行前後如是 一方如此行方准之

ちなみに、
「掌中歴&懐中歴」「二中歴」は、
事典のようなものであり、
ページによっては、たまに図もあるんですが、
将棋に関するページには図が無いんですよね~。
(^^;)<写本の限界!?

また、「二中歴」では、
題材によっては数ページに渡り
執念的なしつこさで記載を続けるので、
紙面的な都合ではなく、
当時流行していた将棋が
『平安将棋』『平安大将棋』のみであったと
分かります♪(^^)

説明文章概略は以下のとおりです♪

『平安将棋』
・玉金銀桂香歩の駒の動き
・三段目で金将に成る
・敵玉1つは勝利

『平安大将棋』
・13マス
・平安将棋にない駒の動きの説明
・初期配置の説明
(注:初期配置にて銀の重複、桂の抜けなど
  記載ミスと思われる箇所があります!)

それでは、
本将棋の元となった
『平安将棋』に注目してみましょう♪(^^)

将棊 棊一作騎
玉将八方得自在(玉将は8方向に自在に行ける)
金将不行下二目(金将は下2マスは行けない)(左右対称なら斜め2マス?)
銀将不行左右下(銀将は左右下に行けない)
桂馬前角超一目(桂馬は斜め前の1マス超えたところへ行ける)
香車先方任意行(香車は前方に好きなように進める)
歩兵一方不他行(歩兵は一方向以外へ進めない)(どの方向だよ!)
入敵三目皆成金(敵陣3マスに入ったら皆金になる)(玉将は?)
敵玉一将則為勝(敵玉を1つにすれば勝ち?)

■盤サイズ&初期配置について
 まず不自然なのが、
 『平安大将棋』に記載してある
 盤サイズ&初期配置の説明が全くありません!(^^;)
 つまり、
 『平安将棋』の
 盤サイズ&初期配置は、この時点で確定しておらず、
 未完成状態(試行錯誤期間)だったと思われます。
 (^^;)
 『チャトランガ最終形態』の8X8盤を参考に、
 9X9盤と初期配置を検討している段階と思われます♪
 (仏教の五宝を元に玉金銀桂香を入れようとしたら、
 9X9盤の方が都合が良いので、
 見直し期間になったのかもしれません♪)

■駒の動きについて
 文章だけで図がないので悲惨です…。(^^;)
 例えば桂馬は、
 現在の動きなのか、斜め2マス先にジャンプするのか
 詳細部分がよく分かりません…。(^^;)
  ↓
 特筆すべきは、
 『チャトランガ最終形態』と
 すでに異なる動きになっています♪(^^)
 ・車(飛車の動き)→香車
 ・馬(八方桂の動き)→桂馬(この頃の動きは諸説あり)

■成りの方法について
 >入敵三目皆成金(敵陣3マスに入ったら皆金になる)
  ↓
 海外には無い成り方ですが、
 この時点でルールが明文化されています♪
 \(^^)/
 
■持ち駒制について
 >敵玉一将則為勝(敵玉を1つにすれば勝ち?)
 から推測するに、
 持ち駒制では無いと思われます。
 \(^^;)<お互いの駒が減っていくという事。
 (持ち駒制は、海外では見られない特殊ルールで、
 一般的とは思えないので、ルールとして存在するなら、
 必ず書いてあると思うんですよね…(^^;))
(色違い立体像駒を木簡製駒化した時点が、
持ち駒制ルール完成時期という意見もあります♪
「二中歴」の元である「掌中歴&懐中歴」完成時点で
まだ有名でなかったというだけで、
持ち駒制ルール完成時期は、かなり早かったのかもしれません♪)



■おまけ:「二中歴」について
 ・内表紙デザイン綺麗♪
 ・字は達筆な方、丁寧な方、下手な方がいます
「二中歴」の内表紙
国立国会図書館デジタルコレクションの
二中歴13巻.[7]コマ番号2
2-chu-reki-hyousi

« »